インプラントの保険適用条件は?生命保険はおりる?費用を抑える方法も紹介
2025.09.29

インプラント治療は、見た目の自然さや噛む力の回復といった多くのメリットがありますが、費用面で不安を感じる方も少なくありません。
インプラント治療は原則として自由診療ですが、一定の条件を満たせば保険適用となるケースもあります。
また、保険適用とならない場合でも、医療費控除やデンタルローンの活用や、治療法について相談することで費用負担の軽減が可能です。
この記事では、インプラントが保険適用になる条件や、原則として保険適用外となる理由、費用相場、費用を抑える方法まで詳しく説明します。
インプラントの保険適用についての疑問にも答えていますので、インプラント治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
インプラントは保険適用で受けられる?
インプラント治療は、原則として保険適用外です。しかし、ごく一部の特定のケースでは保険が適用されることもあります。
ここでは、保険が適用される条件やその理由についてわかりやすく説明します。
インプラントが保険適用になる条件
インプラント治療は基本的に自由診療となり治療費は全額自己負担です。
しかし、以下のような条件を満たした場合に限り、保険が適用されます。
条件は先天的な異常か後天的な損傷によって分類され、さらに特定の医療機関での治療が必要です。
顎骨の3分の1以上が欠損・形成不全
事故や腫瘍、先天的な疾患などにより、顎の骨が連続して3分の1以上欠損または形成不全となっている場合には、保険適用となります。
具体的には以下のような症例です。
- 腫瘍や顎骨骨髄炎、交通事故などで広範囲の顎骨が失われている
- 顎の骨が再建手術(骨移植など)を伴う重度の欠損
- 顎の3分の1以上が欠損し、上顎洞や鼻腔とつながっている状態
このように、重大な損傷が起こった場合に限り、インプラントは保険適用となります。
先天性欠如歯が6本以上
生まれつき永久歯が6本以上欠如している『先天性部分無歯症』も保険適用の対象です。
2024年の診療報酬改定により、欠如している歯が連続していなくても6本以上であれば対象になりました。
さらに、前歯や小臼歯(前から4、5番目の歯)の永久歯が3本以上生えず、埋まった歯を露出させる手術を必要とする場合も保険適用の対象となります。
条件を満たす医療機関での治療
保険が適用される症例であっても、すべての歯科医院で保険診療が受けられるわけではありません。
インプラントの保険診療は、以下のような条件を満たした特定の病院でのみ行えます。
- 歯科、または歯科口腔外科を標榜している
- 常勤で歯科経験5年以上、インプラント経験3年以上の歯科医が2名以上在籍
- 入院用ベッドを20床備えた病院
- 当直体制や医療設備の保守管理体制が整っている
これらの条件を満たすためには、規模の大きな病院である必要があるため、街の歯科医院では基本的に保険適用でのインプラント治療は受けられません。
適応可能な病院については、各都道府県の医療安全支援センターなどで確認できます。
インプラントが原則保険適用外な理由
日本の医療制度では、必要かつ最低限の治療が保険の対象となります。
虫歯や歯周病に対する一般的な治療、入れ歯やブリッジなどは保険適用の範囲に含まれています。
しかし、インプラントは日常生活を送る最低限の治療というより審美性向上の意味合いが強いことから、保険制度上の必要十分な治療の範囲を超えると判断され、原則として保険が適用されません。
インプラントの費用相場
インプラントは保険適用に厳しい条件があることから、多くのケースで自由診療となり、費用は全額自己負担になります。
一般的な費用相場は1本あたり30〜50万円で、歯科医院が扱っているインプラントや人工歯の価格や歯の状態によっても大きく変動します。
インプラントが高額になるのは以下の理由が挙げられます。
- 高品質なインプラントの価格や使用する素材が高額
- 高度な外科技術と専門知識が必要
- 設備投資や維持に費用がかかる
費用には、診察料、検査代、手術代、メインテナンス代が含まれていることが多いですが、歯科医院によっては別途費用が必要になる場合もあります。
事前に総額と細かい内訳を提示し、明朗な費用設定を行う信頼できる歯科医院で治療を受けることをおすすめします。
インプラントの費用を抑える方法
インプラントは基本的に自由診療となるため、費用が高額になりがちですが、以下のような方法を活用することで金銭的な負担を軽減できる可能性があります。
- デンタルローン
- 医療費控除
- 高額療養費制度(保険適用の場合)
- 歯科医院で治療法について相談する
それぞれの方法について、詳しく解説します。
デンタルローン
デンタルローンとは、信販会社や金融機関が提供する、使用目的を歯科医療の費用に限定したローンのことです。
一度にまとまった費用を用意するのが難しい場合は、歯科医療に特化したデンタルローンを利用することで月々分割払いができるため負担を抑えられます。
多くの場合、デンタルローンで支払った費用も医療費控除の対象になります。
ただし、デンタルローンは金利や審査があり、保証人が必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。
医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円(または年間所得の5%のいずれか少ない額)を超えると、医療費控除の対象になります。
インプラント治療は高額になるケースが多いため、控除を受けられる可能性が高いです。
控除の上限は200万円で、治療費のほか通院にかかった交通費も対象となります。
確定申告で医療費控除の明細書などを提出することで、所得税や住民税の負担を減らすことができます。
ただし、審美目的のインプラントは医療費控除の対象外で、あくまで歯の機能回復を目的とした治療に限られます。
高額療養費制度(保険適用の場合)
高額療養費制度とは、1か月あたりに支払った医療費が所得に応じた上限額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。
ただし、この制度は保険診療に限って適用されるため、自由診療のインプラント治療は対象外です。
保険診療としてのインプラント治療が認められた場合には、制度の適用を受けることが可能で、一定額を超える医療費については高額療養費制度によって補助が受けられます。
歯科医院で治療法について相談する
多数の歯を失った場合、通常のインプラントを複数本入れるよりも、インプラントとブリッジの併用、オールオン4、オールオン6、インプラントオーバーデンチャーなどを選ぶことで費用が抑えられる可能性があります。
それぞれの治療法の特徴は以下の通りです。
治療法 | 特徴 | 適したケース |
---|---|---|
インプラントとブリッジの併用 | インプラントでブリッジを支える | 部分的に複数の歯を失っている場合 |
オールオン4 | 4本のインプラントで全顎の人工歯を支える | 上下いずれかまたは両方の歯がすべてない方 |
オールオン6 | 6本のインプラントで全顎の人工歯を支える | 噛む力が強い方・骨量が十分にある方 |
インプラントオーバーデンチャー | 2~4本のインプラントを使って着脱可能な入れ歯を支える | 多数の歯を失った方・費用を抑えつつ安定性が欲しい方 |
インプラント治療には複数の手法があり、1本ずつ歯を再建する以外にも選択肢があります。
これらの手法はすべての歯科医院で対応しているわけではないため、事前に歯科医院への確認が必要です。
費用を抑えたり、治療の選択肢を広げたい場合には、インプラントの症例が豊富で難症例にも対応している歯科医院を選ぶことが大切です。
当院では、40年の治療実績を持ち、インプラント専門の歯科医師が豊富な経験と多くの症例に対応しています。
上記の治療法にも対応しているため、費用を抑えたい方も気軽にご相談ください。
インプラントの保険適用についてのよくある疑問
インプラントは高額になりやすいため、保険適用に対する疑問を持つ方は少なくありません。
ここでは、インプラント治療に関して多く寄せられる保険適用に関する疑問について、わかりやすく解説します。
Q:インプラントは生命保険の適用になる?
インプラント治療は基本的に自由診療にあたるため、生命保険の医療保険や手術給付金の対象にはならないのが一般的です。
これは、インプラント治療が「医科診療報酬点数表」に手術として記載されておらず、医療保障の条件を満たしていないためです。
健康保険が適用されるケースであれば、契約中の生命保険に医療保障(入院保障・手術保障など)の特約がついていれば、給付金を受け取れる可能性があります。
保険の内容については、治療を受ける前に保険会社に確認をとりましょう。
また、かつて一部のインプラント治療(先天的・後天的疾患によるもの)は先進医療として認められ、先進医療特約による給付が可能でした。
しかし、2012年4月以降、保険診療の対象となったため、現在は先進医療からは除外されています。
Q:インプラントは将来すべて保険適用になる?
インプラント治療は、基本的に自由診療として行われており、虫歯や歯周病による歯の欠損に対しては保険の適用対象外です。
ただし、インプラントの保険適用は、2012年に初めて導入されて以降、2020年、2024年と対象が拡大されており、医療制度の変化に伴って、保険適用の範囲が広がる可能性はあります。
とはいえ、現時点では、事故や先天的な疾患など特別な理由がある場合のみに限定されており、すべてのインプラント治療が保険適用の見通しは立っていません。
今後の制度改定によって変更が生じる可能性もあるため、インプラント治療を検討している方は、最新の情報を医療機関や公的機関に確認することをおすすめします。
まとめ
インプラントは多くの場合保険が適用されない自由診療で、費用は全額負担です。
特定の条件を満たす場合は保険診療となることがありますが、大学病院などの規模の大きな病院で治療を行う必要があり、街の歯科医院では治療が難しいケースが多いです。
高額になりやすいインプラントの費用を安く抑えるためには、医療費控除や支払い方法の変更などのほかにも、症例が豊富でさまざまな治療法を提案できる歯科医院を選ぶことが大切です。
『辻岡歯科医院』では、豊富な経験を持つインプラント専門の歯科医師が在籍しており、オールオン4、オールオン6、インプラントオーバーデンチャーも対応可能です。
デンタルローンとも提携していますので、費用が気になる方はご相談ください。
また、インプラントの無料相談は毎日受け付けていますので、インプラントについて気になることがあればぜひ『辻岡歯科医院』にご相談ください。