インプラントの平均寿命は?寿命を短くする原因と延ばす方法も紹介
2025.09.29

インプラントは、見た目や機能の面で天然の歯に近く、長期間使用できることで多くの人たちに選ばれています。
しかし、インプラントは多くのメーカーで作られており、メーカーによって品質や機能面で差があるため、寿命にも差が出ます。
また、インプラントの使い方やケアの仕方によって寿命が短くなる可能性もあるのです。
この記事では、インプラントの平均寿命や、寿命を縮めてしまう原因、寿命がきたときの対処法、そしてできるだけ長く使い続けるためのポイントについて詳しく解説します。
インプラントをこれから検討している方はもちろん、すでに治療を受けている方もぜひ参考にしてください。
インプラントの平均寿命はどのくらい?
インプラントの平均寿命は、メーカーによっても異なります。
インプラントの寿命は10〜15年と言われていますが、実際は10年生存率が約90%であり、平均寿命はもっと長いと考えられています。
世界シェアが高い高品質のインプラントの中には20年生存率が約90%とされるものもあり、一生使い続けることが可能な場合もあります。
インプラントを選ぶ際には、シェアが高く治療実績が多いものを選ぶことをおすすめします。
インプラントの寿命を短くする原因
インプラントは適切な治療とケアを行えば長期間使用できますが、いくつかの要因によって寿命が短くなることがあります。
ここでは、インプラントの寿命を短くする代表的な原因と対策をわかりやすく紹介します。
噛み合わせ
インプラントは天然歯と異なり、歯と骨の間にある歯根膜が存在しません。
歯根膜は、噛んだ時の衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしますが、インプラントにはそれがないため、加わった力をそのまま受け止めることになります。
歯ぎしりや食いしばりなどの強く噛みしめる習慣があると、インプラントやその周囲の構造に大きな負荷がかかりトラブルにつながります。
また、噛み合わせが悪いまま放置していると、インプラントに力が集中し、寿命を縮める原因になります。
メインテナンス
インプラントは治療後のセルフケアや定期的な歯科医院でのメインテナンスが重要です。
メインテナンスやケアを怠ると、歯垢や歯石がインプラントの周囲にたまりやすくなり、細菌が繁殖しやすくなります。
細菌が繁殖し始めるとインプラント周囲粘膜炎という炎症が始まり、進行すると歯槽骨が破壊され、インプラントが支えを失います。
インプラントには神経が通っていないため、炎症が進行しても痛みを感じにくく、気づいたときには重症化しているケースが少なくありません。
定期的な歯科医院でのメインテナンスをしっかりと行うとともに、日常のケアを怠らないようにしましょう。
インプラント周囲炎
インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病になります。
特に注意が必要なのがインプラント周囲炎と呼ばれる病気で、これはインプラントの周囲にある歯肉や骨が細菌感染によって炎症を起こした状態です。
歯周病の既往歴がある場合は、治療前に歯周病をコントロールする必要があります。
また、インプラントは歯根膜が存在しないため、細菌が侵入しやすい構造で、一度細菌が入り込むと、炎症が骨まで及びやすく、天然歯以上に進行が早くなります。
歯周病は先に治療し、インプラントを埋め込んだ後もしっかりケアを行って予防に努めることが大切です。
喫煙
喫煙はインプラントの寿命を短くするだけでなく、手術の成功率にも悪影響を及ぼします。
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させ、歯肉の血流を悪化させる働きがあります。
血管収縮作用により、インプラント手術後の傷の治癒が遅れるだけでなく、インプラントと骨が結合する過程にも悪影響が出てしまうため、注意が必要です。
さらに免疫力が低下することで感染症のリスクが高まり、インプラント周囲炎などの炎症も起こりやすくなる可能性があります。
インプラントの質
インプラント体は多くのメーカーから提供されており、その品質や信頼性はさまざまです。
なかには価格の安さを売りにしている製品も存在しますが、その一部は長期的な臨床データが不足していることもあります。
品質の低いインプラントは、素材や加工技術の面で信頼性に欠ける場合があります。
トラブルが発生した際にメーカーのサポートが得られない場合もあり、インプラントは品質によって寿命に大きな差が出る可能性があるでしょう。
インプラントの寿命がきたらどうなる?
インプラントの寿命とは、埋め込まれたインプラント体が機能し続ける期間をいい、最終的に顎の骨から脱落するまでの時間を意味します。
インプラントの寿命が近づくと以下のようなサインが現れます。
- インプラント周囲の腫れや出血・赤み
- 噛んだ時の違和感や痛み
- インプラントのぐらつき
- 人工歯のゆるみや破損
これらのサインを見逃さないことが重要で、早めに対応することでその後の治療の選択肢が広がります。
ここでは、寿命が近づいた際にすべきことを紹介します。
インプラントの寿命が来たらすべきこと
インプラントは一生使用できる場合ももちろんありますが、何らかの理由で寿命を迎えることがあります。
寿命のサインが現れたら、保証期間の確認や歯科医師への相談が大切です。
保証期間を確認
インプラントが使えなくなった場合、まず保証期間を確認することが大切です。
多くのインプラントには5〜10年程度の保証がついており、世界的に有名な高品質なインプラントを製造するメーカーでは、その期間が長めに設定されていることがあります。
保証期間内であれば、保証内容に応じて再治療の費用が軽減されたり、無償で修復・交換できる場合があります。
具体的な保証内容や適用条件については、インプラント治療を受けた歯科医院に相談してください。
歯科医院に相談
インプラントがぐらついたり、折れたりした場合は自己判断をせずにすぐ歯科医院に相談しましょう。
歯科医院で修復や交換を行ったり、再治療できる場合があります。
また、再治療にあたっては、インプラントを再度選ぶかどうかの判断もできます。
ブリッジや入れ歯などの別の治療法も検討でき、症状や希望に応じた適切な治療を歯科医師と相談して選ぶことが大切です。
インプラントの寿命を延ばす方法
インプラント治療は、外科手術を伴い、費用も高額になることが多いため、できるだけ長く使い続けたいと考える方が多いでしょう。
実際に適切なケアを行えば、インプラントは30〜40年以上、あるいは一生使い続けるケースもあります。
ここでは、インプラントの寿命を延ばすために意識したい習慣や対策について紹介します。
信頼できるメーカーのインプラントを使う
インプラントの品質はメーカーによって大きく異なります。
世界的にシェアが高く、臨床実績が豊富なメーカーの製品を選ぶことで長期的に良好な結果が期待できます。
逆に、安価で実績の少ないインプラントはトラブルの原因になる可能性も否定できません。
治療を受ける歯科医院で、使用するインプラントのメーカーや性能について、事前に確認しておくことが重要です。
当院では、世界シェア1位で治療実績のよいスイスのストローマンインプラントを使用しています。
症例数豊富な歯科医院を選ぶ
インプラント治療は高い専門性が求められる治療のひとつです。
成功率を高め、トラブルを防ぐためには、症例数が豊富で経験のある歯科医院を選ぶことが重要です。
症例数の多い医院では、口腔内のさまざまな状態や全身疾患を抱える方に対応してきた実績があり、より的確な診断や治療が期待できます。
骨量の少ない方への対応や、インプラントと他の治療法の併用など、柔軟な選択肢を提案してもらえる点もメリットです。
また、術後のメインテナンス体制が整っているかどうかも、医院選びのポイントです。
長期にわたるフォローアップがしっかりしている医院であれば、インプラントを長く使い続けることにつながります。
複数の歯科医院で相談をし、説明内容や対応などから、信頼できる歯科医院かどうか見極めましょう。
セルフケアをしっかり行う
インプラント自体は虫歯にはなりませんが、周囲の歯肉や骨が歯周病になるリスクはあります。
インプラント周囲炎が進行すると、インプラントの脱落につながるため注意が必要です。
毎日の歯磨きでは、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを活用し、口内を清潔に保ちましょう。
インプラントに適したケア方法は歯科医師や歯科衛生士からアドバイスを受けることができます。
歯ぎしり対策をする
就寝中の歯ぎしりや無意識の食いしばりは、インプラントに強い負荷をかけ、破損や脱落の原因になります。
インプラントには天然歯のような歯根膜がなく、ダメージが蓄積しやすいため、天然歯以上に注意が必要です。
歯ぎしりを自覚している方や指摘されたことがある場合には、マウスピースの使用などで負担が軽減できるため、歯科医師と相談しましょう。
喫煙を控える
喫煙は、インプラントと骨の結合を妨げると言われていて、治癒や定着に時間がかかる要因となります。
さらに術後も血流の悪化により、インプラント周囲の組織が炎症を起こしやすくなるため、インプラントの寿命を縮めてしまいます。
インプラント治療を機に禁煙する、または喫煙本数を減らす努力をすることをおすすめします。
定期的なメインテナンスを受ける
インプラントを長持ちさせるためには、日々のセルフケアに加えて、歯科医院での定期的なメインテナンスが欠かせません。
どれだけ丁寧に歯磨きやケアをしていても、見えにくい部分に汚れが残ってしまうことや自分では気づかずに炎症などが起こっている場合もあります。
定期的なメインテナンスによって、口腔内の状態のチェックを行うことができるため、インプラントを長持ちさせることにつながります。
また、定期検診では、普段のブラッシング方法が適切かどうかの確認や噛み合わせのチェック、歯ぎしりなどの対策も行われることが多いです。
セルフケアの精度を高め、噛む力によるインプラントの負荷を軽減することにもつながるため、インプラントの寿命を延ばせるでしょう。
まとめ
インプラントの寿命はメーカーによって異なり、高品質で治療経験の高いものを選ぶことで長期間使用することが可能です。
しかし、セルフケアの方法や生活習慣、インプラントの質によっては寿命が短くなる可能性もあります。
インプラントの寿命を延ばすためには、セルフケア以外にも、信頼できるインプラントと症例数の多い経験豊富な歯科医師を選び、定期的なメインテナンスを受けることが大切です。
『辻岡歯科医院』では、世界シェア1位の治療実績の多いスイスのストローマンインプラントを使用し、インプラントを長期間使用できるための適切なアドバイスやアフターフォローを行っています。
定期メインテナンスでも患者様一人ひとりに合わせたサポートを行っていますので、インプラントの寿命が気になる場合や、長く持たせたいと考えている方は、ぜひご相談ください。