差し歯とインプラントの違いとは?メリット・デメリットも解説
2025.10.17

差し歯とインプラント、どう違うのかご存じでしょうか?
失った歯の替わりに噛む力を補う歯科の治療という点では共通していますが、構造や治療に適した条件など、さまざまな違いがあります。
この記事では、差し歯とインプラントの異なる点を比較し、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
差し歯とインプラントについて詳しく知りたい方、どちらを選ぶか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
差し歯とインプラントの違い
差し歯とインプラントには、大きく分けると以下のような違いがあります。
差し歯 | インプラント | |
---|---|---|
歯根の有無 | 残っている歯根を利用 | 歯根が残っていない状態でも治療可能 |
保険適用 | 素材により保険適用あり | 基本的に保険適用外で自費診療 |
手術 | なし | あり |
治療にかかる期間 | 比較的短い | 約3~6ヶ月(口の中の状況により変わる) |
審美性 | 素材により変色する可能性がある | 高い審美性 天然の歯に近い見た目 |
耐久性 | 素材により劣化する可能性がある | 長期間の耐久性 |
メインテナンス | 必要 | 必要 |
ここでは、2つの治療について、異なる点を比較しながら解説します。
歯根の有無
歯根とは、歯の根元のことで、歯根が残っているかどうかは差し歯とインプラントのどちらを選択するかにおいて重要です。
差し歯は歯根が残っている状態で、その上から被せ物(クラウン)をして噛む力や見た目を整える治療であるため、歯根がない(抜歯や抜け落ちたなど)場合は選択できません。
一方インプラントは、歯根が残っていない、すなわち歯を失った状態に行う治療で、インプラント体(人工の歯根)を埋め込みアバットメントでつなぎ、人工の歯を被せます。
保険適用
保険適用されるかは、差し歯とインプラントで大きく異なる点です。
差し歯は素材によって、保険適用となり費用が抑えられるメリットがあります。
ただし、保険適用の素材は見た目や強度において、自身の希望と合わないケースもあるため注意が必要です。
より自然な歯に近い見た目や、耐久性にこだわる場合は、保険適用外の素材を選ぶことも可能です。
インプラントは基本的に保険適用外で、自費診療となります。
種類や素材、本数、歯科医院によりかかる費用は異なりますが、高額になる傾向があります。
なお、自費診療の差し歯やインプラントは、医療費控除の申請をすれば所得控除を受けられる可能性があるため、クリニックで相談してみましょう。
(参照:「医療費控除の対象となる歯科治療」国税庁)
手術
差し歯とインプラントでは治療法が違うため、手術の有無も異なります。
差し歯は手術が不要で、通常の歯科で行われる治療の中で対応できます。
手術を行わないため痛みが少なく、身体への負担も少なく済むのがメリットです。
インプラントは外科手術が必要で、対応していない歯科医院もあります。
歯肉を切開してインプラント体を埋め込む手術を行い、骨と結合してから被せ物をする流れです。
麻酔は使用しますが、痛みへの心配や身体の負担が少なからずあると考えておきましょう。
治療にかかる期間
治療にかかる期間も、差し歯とインプラントで大きく違う点です。
差し歯は手術を行わないため、口腔内の状態や治療の本数にもよりますが、約1~2ヶ月で治療が終わる場合もあります。
一方インプラントは手術が必要で、術前のカウンセリングや精密検査の時間、術後の管理などを含めて約3~6ヶ月はかかり、口腔内の状況によっては期間が延びるかもしれません。
インプラントの手術方法には1回法と2回法とあり、2回法は手術を2回に分けて行うため、より期間がかかる可能性があります。
審美性
審美性は、保険適用の差し歯と自費診療の差し歯、インプラントで異なります。
保険適用の差し歯は、奥歯は銀歯、前歯は硬質レジンで作られていて、見た目の美しさ(天然歯の自然さ)にはこだわれません。
材質によっては、経年変化や食事の着色で変色する可能性があるため、注意が必要です。
自費診療の差し歯は、土台も被せ物も素材が選べて、見た目やアレルギー対応にもこだわることができます。
インプラントは自費診療でさまざまな素材が選べ、周りの歯と自然に溶け込んで違和感がなく、審美性が高いです。
耐久性
保険適用と自費診療では、耐久性にも違いがあります。
メインテナンスや噛み合わせなどの状況でも異なりますが、一般的に差し歯の場合は保険適用で約5~8年、自費診療の場合は素材により10~20年以上の耐久性があるとされています。
インプラントでは、使用するメーカーや治療を行う歯科医院にもよりますが、約30~40年もつものもあり、きちんとメインテナンスを行えば一生もたせることも可能です。
メインテナンス
差し歯もインプラントも、治療後の定期的なメインテナンスが必要です。
どちらも被せ物は人工物のため虫歯にはなりませんが、差し歯は歯根部分が残っているため、虫歯や歯周病になる可能性があります。
インプラントは歯根がない状態ですが、インプラント周囲炎のリスクはあるため注意しなければなりません。
差し歯とインプラント、予防すべきトラブルは異なりますが、毎日のケアと定期的な通院でのメインテナンスが必要です。
差し歯のメリット
差し歯を選ぶメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
それぞれについて、詳しく解説します。
残っている歯根を活用できる
残っている歯根を活用できることは、差し歯を選ぶメリットの中でも大きいものです。
歯根の周りの歯根膜や組織をそのまま残すことで、口腔内の環境が変わるのを少なく済ませることができます。
自分の歯をできるだけ残したまま治療を行いたい方は、差し歯を選ぶメリットになるでしょう。
手術が必要ない
手術に抵抗がある方は、外科手術が必要ない差し歯を選ぶのも良いでしょう。
切開しないため治療中や治療後の痛みが少なく、麻酔や検査などによる身体への負担も軽減できます。
また手術設備がない歯科医院でも差し歯の治療が可能なため、対応している歯科医院を探さずに済むのもメリットのひとつです。
治療期間が短い
差し歯は手術が不要なため、インプラントの場合に行う事前の検査や準備期間がなく、治療期間が短く済みます。
通常の虫歯治療とほぼ変わらない期間(約1~2ヶ月)で終わることも少なくありません。
早く人工歯で生活したい、期限があるなどの理由がある方は、差し歯の治療期間が短いことはメリットです。
差し歯のデメリット
差し歯にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
主に3つのデメリットについて、解説します。
審美性は素材によって異なる
差し歯の審美性は、素材によって異なります。
保険適用の素材は費用面では安くなりますが、審美性に劣るため周囲の歯との差が出てしまい、自然の歯と並べると違和感があります。
自費診療はセラミックやジルコニアなどの素材が選べ、天然歯に近い見た目にこだわることができますが、その分費用が高額になるため注意が必要です。
寿命が短い
差し歯の寿命は、保険適用の素材では短くなる傾向があり約5~8年、自費診療の場合は素材によりますが約10~20年が耐久期間とされています。
口腔内の状況やメインテナンス状態で変わりますが、一定期間で素材に関わらず寿命を迎えると考えておきましょう。
また、特に保険適用の素材は着色や劣化のリスクがあり、もっと短い期間で被せ物を新しくしなければならない可能性もあります。
治療が難しいケースがある
差し歯を選びたくても、歯根や骨の状態によっては治療が難しいケースがあります。
残っている歯根の虫歯が進行し、治療が難しいときは差し歯ができない可能性も出てきます。
また、骨の状態が良くない場合、差し歯を装着しても人工歯が脱落してしまうリスクがあるため、注意が必要です。
インプラントのメリット
インプラントは、メリットの多い治療です。
失った歯の見た目はもちろん、機能も取り戻せるメリットがあります。
高い審美性
インプラントは高い審美性があり、自然の歯と変わらない見た目です。
素材にさまざまな選択肢があるため、インプラントの歯だけが浮いてしまうことはほとんどなく、歯を見せるのに抵抗が少なくなるでしょう。
埋め込んだインプラント体やつなぎ部分(アバットメント)は外側から見えず、通常の生活では外れることはないため、治療後のQOLを保てます。
周りの歯を傷つけない
インプラントの治療では、対象の歯だけを埋め込むため、健康な他の歯を削って土台にしたり、調整したりする必要がありません。
両隣の歯に影響が少なく、削った箇所から虫歯になるなどのトラブルも避けられます。
噛む力が偏る心配も少なく、残っている健康な歯に過度な負担がかからないため、全体の歯の寿命を延ばすことにもつながります。
違和感が少ない
インプラントは違和感が少なく、自分の歯と同じような感覚で使えることもメリットです。
土台を自分の骨と一体化させるため噛む力が落ちず、硬い物も天然歯と同じように食べられます。
しっかり噛めるため消化にも良く、食事が普通にできることは大きなメリットです。
寿命が長い
インプラントのメリットとして、寿命が長いことが挙げられます。
インプラントは耐久性に優れていて、短期間で交換する必要はありません。
例えばスイスのストローマンインプラントは、長期的に見てトラブルが少なく、高品質で安定しています。
ストローマン社の研究によると、10年のインプラント生存率は98.8%、成功率は97.0%と報告されています。
定期的なメインテナンスを行えば、一生インプラントを使い続けることも可能です。
(参照:「Large clinical study of dental implants yields impressive 10-year outcomes」ストローマン社)
顎の骨を刺激する
通常、歯根がなくなると歯の骨が痩せていき、周りの歯にも影響が出る可能性が高いです。
インプラント治療は、顎の骨を刺激して丈夫に保つ効果が期待できます。
取り外しの必要がない
インプラントは一度装着すれば、取り外す必要はありません。
例えば入れ歯で歯の機能を補っている場合は、取り外して洗浄する手間がありますが、インプラントは自分の歯と同じようにブラッシングやケアを行えます。
旅行や他の疾患で入院するなどのときに歯を気にすることもなく、快適に過ごせるのもメリットです。
インプラントのデメリット
メリットの多いインプラントですが、デメリットも存在します。
理解したうえで選択するために、ここではインプラントのデメリットについて解説します。
手術が必要
インプラント治療では、外科手術が必要です。
切開して顎の骨にインプラント体を埋め込む手術を、麻酔を使用して行います。
成功率は高いとはいえ、手術である以上、感染症のリスクや術後の痛みや腫れが起こる可能性はあります。
手術に不安がある方は、事前のカウンセリングで歯科医師とよく相談して、心配や疑問を解消しておきましょう。
インプラント周囲炎のリスクがある
インプラント治療後は、虫歯にはなりませんが、インプラント周囲炎のリスクがあります。
インプラント周囲炎とは、通常の歯周病のような炎症がインプラントの周囲に起こる症状です。
インプラント周囲炎を防ぐためには、決められた頻度で通院して、インプラントの状態チェックに加えて口腔内の状態確認、クリーニングも行っていきましょう。
なお、ストローマンインプラントを使用した際の調査では、10年後のインプラント周囲炎の有病率は1.8%と報告されています。
一部の全身疾患があると手術ができない可能性がある
インプラント治療は、一部の全身疾患があると手術ができない可能性があります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 心疾患
- 血液疾患
- 骨粗しょう症など
手術中の管理や、顎の骨との結合の問題、インプラント周囲炎のリスクの高さなどに影響する可能性があるため、必ず歯科医師に相談してください。
疾患の状況によっては問題なくインプラント治療ができる場合や、疾患の医師と連携を取る場合などさまざまな対応が考えられます。
差し歯とインプラントはどっちを選ぶべき?
差し歯とインプラントは、どっちを選ぶべきかをお悩みの方は少なくありません。
判断のときに重要となるのが、歯根が残っているかどうかという点です。
基本的に、歯根が残っており、差し歯での治療が可能な場合は、差し歯が選択されることが多いです。
一方、歯根が残っていない、残っていても虫歯や状態が悪くて差し歯に向かない方は、インプラントが向いています。
ただし、患者さんの口腔環境やライフスタイル、希望によってもどちらが向いているかは異なるため、詳しくは歯科医院で相談してみましょう。
まとめ
差し歯とインプラントの違いやメリット・デメリットは、どちらを選んでも少なからずあるものです。
大切なのは、自分に合った治療方法を選ぶということです。
そのためには、メリット・デメリットを知り、カウンセリングで歯科医師と相談し、納得したうえで治療をするのが重要です。
信頼できる歯科医院できちんと説明を受けて、不安や疑問を解消して、差し歯かインプラントのどちらが合っているかを選びましょう。
辻岡歯科医院は、土日も含め診療を行い、毎日インプラントの無料相談会やCT無料診断を実施しております。
世界で信頼の高い「ストローマンインプラント」を採用していて、インプラントの豊富な治療実績があります。
インプラントと差し歯に迷っている方、疾患があって不安な方は、ぜひ辻岡歯科医院のインプラント無料相談会でご相談ください。