インプラント手術後は腫れる?原因や対策などを解説
2025.10.23

インプラント手術に対して、痛みや腫れがあるのではという不安がある方も少なくありません。
手術である以上痛みがあるのはある程度想像がつきますが、腫れへの心配はまた別です。
この記事では、インプラント手術で腫れることはあるのか、原因や予防などについて詳しく解説します。
腫れるのが不安な方、対策を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント手術後は腫れる?

インプラント手術は、顎の骨にインプラント体を埋め込むために歯肉を切開します。
そのため、程度に個人差はありますが、腫れる可能性が高いです。
腫れるケースもある
インプラント手術後の腫れは、自然な身体の反応です。
親知らずの抜歯や虫歯治療の後に腫れるのを経験したことがある方は、同じような腫れと考えると想像しやすいでしょう。
口腔内への刺激や炎症を治そうとする身体の免疫反応が原因です。
傷口周辺の歯肉や頬が腫れることが多く、腫れ方には個人差があります。
ピークは手術後2~3日ほど
インプラント手術後に腫れが起こった場合、ピークは手術後2~3日ほどです。
それ以降は徐々に軽減していき、通常は1週間ほどで気にならなくなります。
インプラントを埋め込む骨の厚さを増やす骨造成を行った場合は、腫れが長引く可能性がありますが、少しずつ落ち着いてくるようであれば問題ありません。
ただし、痛みを伴う腫れが1週間以上続いている、腫れが強くなっていくなどの異常を感じたときは、すぐに歯科医院を受診しましょう。
インプラント手術後に腫れる原因

インプラント手術後に腫れる原因は、多くは自然な反応なため心配はいりません。
しかし、まれに他に原因がある場合もあるため、注意が必要です。
ここでは、インプラント手術後に腫れる原因について解説します。
ほとんどの場合は自然な免疫反応が原因
インプラントに限らずですが、手術後に腫れが起こるのは自然な免疫反応が原因のため、ほとんどの場合は心配のないものです。
手術で組織が傷つくと、人間の身体はその部分を修復しようと血液を送って免疫細胞を増やし、治癒しようとします。
その過程で傷の周辺が腫れるため、2~3日過ぎから落ち着いてくるようならば、異常によるものではありません。
傷の治り方には個人差があり、健康で新陳代謝が高いと回復が早い傾向がありますが、喫煙や睡眠不足、ストレスが多い方は長引く可能性があります。
細菌感染
インプラント手術前は虫歯や歯周病の治療を行い、また手術に使用する器具や設備は滅菌して細菌感染を防いでいます。
しかし、なんらかの原因により細菌感染が起こると、インプラントの手術後に異様に腫れる、患部が熱をもっている、膿が出ているなどの症状が現れることがあります。
放置するとインプラントが抜け落ちてしまう可能性があるため、早急に処置が必要です。
細菌感染が起こった場合は、抗菌剤を服用して対応します。
歯科医院の衛生管理が徹底されているか、細菌感染への対策がされているかを事前に確認しておきましょう。
また、手術後のセルフケアを怠ると細菌感染が起こる可能性が高まるため、自己管理にも注意してください。
埋込本数が多い
インプラントの埋込本数が多いと、腫れが強く出る可能性があります。
1本よりも複数の手術を行う場合の方が、切開の数も多くなり、身体の免疫反応も強くなるためです。
信頼できる歯科医院でしっかり治療計画を立てているならば、無理のないインプラント手術が提案されているため、腫れが大きくても想定範囲内なら問題ありません。
ただし、手術後約1週間経ってもひどく痛む、腫れが引く気配がないなどの場合は、歯科医院へ相談してみましょう。
骨の火傷
インプラント手術では、インプラント体を埋め込むために専用のドリルで顎の骨に穴を開けますが、ドリルによる過剰な熱(オーバーヒート)で骨が火傷(熱傷)をすると、強く腫れることがあります。
ごくまれですが、オーバーヒートによる骨の火傷が起こった場合、インプラント体と骨の結合が阻害され、インプラントが抜け落ちてしまう可能性があります。
施術者の経験不足やドリルの不適切な使用が原因のため、インプラント手術の経験豊富な歯科医師を選ぶことが重要です。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、インプラント特有の歯周病のような病気で、通常の歯周病よりも進行が早いため注意が必要です。
歯垢や歯石からの細菌侵入が原因で、手術後のセルフケアが不十分だと起こりやすいため、歯科医師の指示に従ってしっかりケアしましょう。
インプラント周囲炎は糖尿病の方や喫煙している方はリスクが増す傾向があり、放置するとインプラントの脱落にもつながります。
年齢や健康状態
年齢や健康状態も、インプラント手術後の腫れに影響を与えることがあります。
傷の回復の早さは代謝の良さに比例するため、健康で若いほど免疫が高く回復が早くなり、腫れが治まるのも早い傾向があります。
高齢でも代謝が良好な方もいるため、年齢だけでは決められませんが、目安のひとつです。
また、全身疾患の持病があると回復に時間がかかる可能性があるため、注意が必要です。
糖尿病や心血管疾患などの全身疾患がある方は、インプラント手術を慎重に行わなければなりません。
薬や金属のアレルギーがあるかも重要なため、必ず申告をしてください。
事前に歯科医師に持病を申告して、適切な対応ができるように相談してみましょう。
骨造成のため
インプラント体を埋め込む顎の骨を増やすための骨造成を行った場合、腫れが強く出ることがあります。
インプラントを安定させて長く使用できるようにするために必要で、顎の骨が薄くてインプラントが埋め込めない方がする手術です。
骨造成も手術であるため、免疫反応による腫れが起こるのは自然なことですが、範囲が広くなると強く腫れて長引く可能性があります。
インプラント手術後に腫れがひどくなるのを防ぐ対策

インプラント手術後の腫れはほとんどの場合自然な反応ですが、何もしないと腫れがひどくなる可能性もあるため注意が必要です。
ここでは、腫れがひどくなるのを防ぐ対策について、詳しく解説します。
食事内容に気をつける
インプラント手術後は、普段通りの食事は控えて、食事内容に気をつけましょう。
麻酔が切れてから(約2~3時間後)は食事ができますが、以下のようなものは避けてください。
- 硬いもの
- 辛いもの
- 熱すぎるもの
- 冷たすぎるもの
傷に刺激を与えてしまうと強く腫れる可能性があるため、手術後2~3日は刺激になりそうな食べ物は控えましょう。
柔らかいものを中心に食事内容を工夫して、炎症が治まり腫れが引く約1週間後を目安に、徐々に元に戻していくようにしてください。
薬を正しく服用する
インプラント手術後に処方される薬を、指示通りに正しく服用しましょう。
痛みや腫れを抑えるために、鎮痛剤や抗生物質が処方されます。
鎮痛剤は痛みを我慢してからではなく、痛む前か感じ始めてすぐ服用することで、効果が期待できます。
抗生物質は細菌感染を防ぎ、炎症を抑える目的で服用しますが、処方された分は飲み切ってください。
腫れが引いたから、出血が止まったからと自己判断で飲むのを止めてしまうと、細菌感染を引き起こしたり、回復が遅れたりするリスクが高まります。
歯科医師からの指示に従い、用法・用量を守って正しく服用してください。
ただし、薬が合わず腫れが続く場合は薬の変更も可能なため、すぐに歯科医師に相談しましょう。
外側から冷やす
腫れを長引かせないためには、外側から冷やすのも有効な方法です。
免疫反応で血流が患部に集まるタイミングで腫れが起こり始めるため、手術後に腫れる2~3時間後からピークの2~3日頃までを目安に行いましょう。
直接氷を当てると冷やしすぎで逆に回復が遅れる可能性があるため、タオルを巻いた保冷剤や市販の冷却シートなどを使用します。
また、長時間冷やすと血流を妨げたり、皮膚への負担になったりするので、こまめに休憩を挟みながら繰り返すようにしましょう。
血行促進に注意
インプラント手術後は、血行を促進させるような行為には注意が必要です。
運動や飲酒、入浴などは血行を良くするため、痛みや腫れが強くなる恐れがあります。
血行が良くなると血流が増加して炎症が悪化する可能性もあるため、避けましょう。
特に腫れが起こりやすい手術後2~3日は、これらの行為を避けて安静に過ごすように心がけてください。
手術部位を触らない
手術部位を触らないことも、腫れをひどくしないために大切です。
インプラント手術をした傷に刺激を与えてしまうと、回復を妨げてしまいます。
指で直接触らないことはもちろん、ブラッシングの際に歯ブラシが当たらないように注意しましょう。
また、食事は硬いものや刺激物を避け、柔らかいものを選ぶように心がけると、炎症の悪化を防ぐことにつながります。
口腔内のケア
インプラント周囲炎や細菌感染を防ぐためにも、インプラント手術後は口腔内を清潔に保つことが重要です。
傷の周辺以外は丁寧にブラッシングを行い、マウスウォッシュやうがい薬を活用してケアします。
歯磨き粉も刺激のあるものは避けた方がいいため、正しいブラッシング方法とともに歯科医院へ相談してみましょう。
手術前後には禁煙する
インプラント手術の前から禁煙を指示されますが、手術後も禁煙を継続することが推奨されます。
タバコに含まれる成分は、血流を悪化させて傷の治りを遅くしたり、白血球の働きを抑制して細菌感染のリスクが高まったりするため、注意が必要です。
喫煙はインプラント周囲炎の原因やインプラント体と顎の骨の結合不全にもつながり、インプラントを使用している方には悪影響があります。
(参照:「歯科インプラント治療指針」日本歯科医学会編)
インプラント手術後の注意点

インプラント手術後は、腫れや痛みを長引かせず、インプラントを長く使い続けるためにも、以下のようなことに注意しましょう。
腫れや痛みが長引くときは歯科医院を受診する
インプラント手術後に腫れや痛みが長引くときは、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。
ピークとされている2~3日が過ぎても腫れや痛みが落ち着かず、1週間以上続くときは注意が必要です。
細菌感染による感染症、薬(鎮痛剤や抗生物質)やインプラント素材へのアレルギー反応、神経の圧迫などにより、免疫反応ではない腫れや痛みが起こっているかもしれません。
少しでも異常を感じたら歯科医院を受診して、問題がある場合はすぐに適切な処置をすることが重要です。
定期的な通院で術後のフォロー
インプラントは手術をして終わりではなく、定期的な通院で術後のフォローを続けることが大切です。
インプラント体を埋め込み被せ物(クラウン)を装着した後も、定期的に口腔内の検査やチェックを行い、インプラントが安定しているかを確認する必要があります。
歯科医師から指示された通院頻度を守ってきちんとメインテナンスを行えば、長期的にインプラントを使用することが可能です。
また、通院の際にクリーニングを行うことで、インプラント周囲炎の予防にもつながります。
自宅でのケアを徹底する
インプラントは歯科医院でのメインテナンスと同様に、自宅でのケアが非常に重要です。
食後や朝晩に丁寧なブラッシングを行い、歯間ブラシやフロス、マウスウォッシュなどを使用して口腔内の清潔を保ちましょう。
歯垢を溜めてしまうと、インプラント周囲炎を発症するリスクが高まってしまいます。
インプラントは歯根膜(歯の根の周りにある保護膜)がないことから天然歯よりも細菌感染のリスクが高く、痛みや違和感もわかりにくいため、進行の早いインプラント周囲炎に気付きにくい特徴があります。
毎日のケアについて不安がある方は、歯科医院でブラッシング指導を受けると良いでしょう。
まとめ
インプラント手術後に腫れる原因は、ほとんどは身体を治癒しようとする自然な免疫反応です。
腫れをひどくしないための対策に気をつけていれば、基本的には心配いりません。
ただし、細菌感染やアレルギー反応などが原因の場合は歯科医院での処置が必要になるため、注意が必要です。
歯科医師の指示を守り、インプラント手術後の注意事項に気をつけて、異変を感じたらすぐに歯科医院を受診してください。
インプラントを長く使い続けるためにも、手術後のケアに注意して、快適に使用できるように心がけましょう。
辻岡歯科医院は、40年のインプラント治療実績があり、豊富な経験をもとに患者様に適した治療をご提案いたします。
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腫れるのが怖くてインプラントを迷っている方は、ぜひお気軽に辻岡歯科医院のインプラント無料相談会へご相談ください。