骨造成
GBR
顎骨が足りない方の
インプラント治療
「骨造成」とは
GBR

インプラント治療は、顎骨にインプラント体を埋入する手術が必要になります。顎骨に充分な厚みや高さがないとインプラント体を埋入しても、骨を突き抜けてしまったりうまく結合できなくなってしまいます。骨造成で骨の厚みや高さを増やすことで、難症例と言われる状態でもインプラント治療が可能となるケースがあります。
骨造成が必要なケース
- インプラントを支えられる骨量が残っていない
- 血管や神経などの周囲の組織を傷つける可能性がある
- インプラント治療後の見た目を損なう
骨造成の種類
TYPE

GBR法(骨誘導再生法)
骨が不足している部分の歯肉を切開し、自家骨や人工骨材料を補填してその部分を特殊な膜で覆い、骨の再生を誘導する方法です。膜で覆うことで、補填した自家骨や人工骨材料が歯肉の再生に使われるのを阻止して、骨の再生を促進させます。処置後は歯肉を縫合し、骨が充分な高さや厚みになるまで、6ヵ月ほど待ちます。
GBR法(骨誘導再生法)の流れ
① 自家骨の採取
自分の骨を使って骨を増やす治療を行う場合、まず顎の先端(オトガイ部)や奥歯の外側(下顎枝)から骨を採取します。インプラントと骨造成を同時に行う場合は、採取した骨を細かく砕いて使用します。
② インプラントの埋入
歯ぐきを開き、顎の骨にインプラント(人工の歯の根)を埋め込みます。骨が少ない場合、インプラントの一部が骨から出てしまうため、後から骨を補う処置が必要です。
③ 骨補填材の充填と保護
インプラントの周囲に採取した骨や人工の骨補填材を入れ、その上を特殊な膜(メンブレン)で覆って保護します。膜には体内で自然に吸収されるタイプと、後で取り出す必要があるタイプ(チタン製)があります。
④ 歯ぐきの縫合
骨材を覆ったら、歯ぐきを元に戻して縫い閉じます。骨が再生してインプラントがしっかり固定されるまで、通常6〜10ヶ月ほど安静に保ちます。
⑤ 人工歯の装着
インプラントが骨としっかり結合したのを確認後、歯ぐきを少し開いて、人工歯を取り付けるための部品(アバットメント)を装着します。その上に人工歯(上部構造)を取り付けて治療は完了です。チタン製の膜を使った場合は、この時に一緒に取り出します。

サイナスリフト
上顎に骨が足りず、複数のインプラントを埋入する場合、1度に大量の骨を作る目的で行なわれる方法です。歯肉を切開し、鼻の周りにある上顎洞という空間あたりの粘膜をはがして上に持ち上げます。できた空間に自家骨か人工骨材料を入れ、歯肉を縫合して骨ができるのを待ちます。骨ができたらインプラントを埋入します。
サイナスリフトの流れ
① 治療開始(麻酔)
最初に、インプラントと同様に局所麻酔を行います。手術に不安や緊張が強い方には、眠ったような状態で受けられる「静脈内鎮静法」を併用することもできます。
② 骨に小さな窓を作る
麻酔が効いたら、上の奥歯あたりの歯ぐきを切開し、骨を一部削って「窓」を作ります。このとき、上顎洞(副鼻腔)を覆っている薄い膜(シュナイダー膜)を傷つけないよう、電動の専用機器を使って、やさしく骨を削ります。
③ 骨補填材を入れる
膜をそっと押し上げて、骨補填材(人工または自家骨)をその下に入れていきます。必要量をしっかり入れたら、作った骨の窓を閉じ、歯ぐきを元に戻して縫い合わせます。
④ 骨ができるまで安静に
骨がしっかり作られるまで、通常3〜6ヶ月の期間をおきます。その後、レントゲンなどで骨の状態を確認し、問題がなければ通常のインプラント手術を行います。

ソケットリフト
上顎に骨が足りない場合に行う方法で、サイナスリフトと異なり小さい範囲での骨を作る目的で行なわれます。抜歯をした場合はその穴から、非抜歯の場合はインプラントを埋入する予定の部分の歯肉を切開し、上顎洞という空間にある膜を押し上げて、自家骨か人工骨材料を補填します。歯肉を縫合して骨ができるのを待ちます。
ソケットリフトの流れ
① 治療開始(麻酔)
局所麻酔を行います。不安が強い方には、リラックスした状態で治療を受けられる「静脈内鎮静法」を併用することも可能です。
② 骨に穴を開ける
インプラントを埋める位置に穴を開けます。このとき、上顎洞(副鼻腔)の膜(シュナイダー膜)を傷つけないよう、専用のドリルを使って慎重に処置します。
③ 骨補填材を入れる
開けた穴から骨補填材を入れて、薄い膜を優しく押し上げます。これにより骨を作るスペースを確保します。
④ インプラントの埋入
骨補填材が十分に入ったら、そのままインプラント(人工の歯の根)を埋め込みます。その後、4〜5ヶ月かけて骨がしっかり作られたのを確認してから、上に人工歯を装着します。

当院の骨造成の特長

辻岡歯科医院では、精密検査で骨造成が必要だと判断した場合、わかりやすく丁寧にご説明いたします。インプラント治療は審美性と機能性を回復し、適切なケアで長期にわたって心身の健康を維持できる治療法です。患者さまがいきいきとした生活を送れるようにサポートいたします。
FAQ
骨造成にはどれくらいの期間がかかりますか?
骨の状態や造成方法によりますが、治癒には6〜12ヵ月ほどかかります。
骨造成は痛みがありますか?
処置中は麻酔を使用するため痛みはほとんどありません。術後は腫れや軽い痛みを感じることがありますが、数日で落ち着きます。それでも続く場合は、歯科医院へご連絡ください。
自分の骨以外を使うこともありますか?
必要に応じて骨補填材を使用する場合があります。安全性は確保されており、患者さまの状態に合わせて選択します。
骨造成が必要かどうかはどのように判断しますか?
CTなどの画像診断により、骨の高さや厚みを確認し、インプラントを支えるのに充分な骨があるかを判断します。
骨造成をしたくない場合、ほかの方法はありますか?
骨の少ない方でも対応できる治療法(オールオン4など)をご提案できる場合があります。ただし、骨の状態によっては骨造成が必要なこともあります。
料金表
PRICE
診療内容等 | 料金 (税込) |
---|---|
GBR法 (骨誘導再生法) | 50,000~ (人工骨の量による) |
ソケットリフト (1歯あたり) | 50,000~ (人工骨の量による) |
サイナスリフト | 150,000~ (人工骨の量による) |
骨造成の一般的な治療期間・回数
治療期間:6~12ヵ月、治療回数:3~8回
治療期間・回数は症状や治療の進行状況などにより変化します。あくまで参考程度にお考えいただき、詳細は歯科医師にご確認ください。
リスク・副作用
インプラント治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- インプラントの埋入にともない、外科手術が必要となります。
- 高血圧症、心臓疾患、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、腎臓や肝臓の機能障害などがある方は、治療を受けられないことがあります。
- 手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
- 手術後、歯肉・舌・唇・頬の感覚が一時的に麻痺することがあります。また、顎・鼻腔・上顎洞(鼻腔の両側の空洞)の炎症、疼痛、組織治癒の遅延、顔面部の内出血が現れることがあります。
- 手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気などの副作用が現れることがあります。
- 手術後、喫煙や飲酒をすると治療の妨げとなるので、1週間は控えてください。
- インプラントの耐用年数は、口腔内の環境(骨・歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きの技術、メンテナンスの受診頻度、喫煙の有無など)により異なります。
- 毎日の清掃が不充分だった場合、インプラント周囲炎(歯肉の腫れや骨吸収など)を引き起こすことがあります。
骨造成にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- 外科手術が必要となります。
- 手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
- 治療後、骨がしっかりと作られるまで3~6ヵ月の治癒期間が必要です。
- 歯周病の方、心疾患や骨粗鬆症など内科的な疾患のある方は、骨造成治療が適さないことがあります。
- 口腔内の衛生状態の悪い方、顎骨が足りない方、免疫力や抵抗力が低下している方、歯周病発生リスクの高いとされる糖尿病の方、喫煙する方は、すぐに治療できないことがあります。
- 日常的に服薬しているお薬などが治療に影響することがあります。
- サイナスリフト・ソケットリフトの処置にあたり、上顎洞膜が破れる可能性があります。その場合、手術後に抗生剤を服用して感染を予防し、膜が自然に治癒するまで待ちます。
- 体の状態や細菌感染により、骨補填材と骨とが結合しない場合があります。この場合、原因を取り除き、ご希望があれば再治療を行ないます。
- 骨の成長途中であるお子さま(おおよそ18歳未満の方)、妊娠中の方は治療が受けられません。