歯周病
PERIODONTAL
歯周病について
PERIODONTAL

歯周病の原因となる細菌に感染すると、細菌が出す毒素によって顎骨などが溶かされてしまいます。骨がどんどん痩せると歯を支えられなくなり脱落してしまいます。子どものうちは新陳代謝が良いため、顎骨が破壊される前に再生されますが、成人になると細菌による破壊のスピードが上回り、歯周病がどんどん進行してしまいます。歯周病にかからないよう予防するとともに、かかった場合は初期段階で治療を済ませておくことが重要です。

歯周病になるとどうなるの?
歯がグラグラと揺れるようになり、噛んだときに痛みが出ます。また、最悪の場合は歯が抜け落ちてしまいます。このほか、膿が出るようになり口臭がすることもあります。

予防するにはどうしたら良いの?
歯石の定期的除去(クリーニング)
歯周病を進行させるのは、歯石とよばれる細菌のかたまりです。歯石は固く歯周組織にしっかり付着するため、歯磨きでは取り除けません。定期的に検診を受けて歯科医院で歯石を取り除くことで、歯周病を予防できます。
洗口剤の使用
口腔内に潜む細菌をより効果的に除菌するために、洗口剤を使用することも予防につながります。従来の歯肉内部の汚れや歯石を手作業で取るよりも、口腔環境が改善され治療結果が向上します。なるべく歯を抜かず長持ちさせるためにも、日々のケアのなかで洗口剤を使用し、細菌を可能な限り減らして口腔環境をきれいに保ちましょう。
インプラントの歯周病
「インプラント周囲炎」
とは
PERI-IMPLANTITIS

インプラント治療後、充分なケアができず周囲の組織が細菌に感染することで歯肉や骨が破壊されてしまいます。こうした歯周病のような症状をインプラント周囲炎と言います。インプラントそのものが虫歯になることはありませんが、天然歯に比べると炎症に対する抵抗力が弱く、感染後は症状が急速に進行します。最悪の場合はインプラントが抜けてしまいます。

インプラント周囲炎のきっかけ
歯がグラグラと揺れるようになり、噛んだときに痛みが出ます。また、最悪の場合は歯が抜け落ちてしまいます。このほか、膿が出るようになり口臭がすることもあります。

インプラント周囲炎を防ぐために
インプラント周囲炎を改善する方法は、大きく分けて2つあります。歯周ポケットを洗浄して歯肉の状態を回復させる「非外科的治療」と、もう1つは歯肉を切開して徹底的に汚れを取り除く「外科的治療」です。また、毎日の歯磨きや生活習慣の見直しなども、病気を改善するために必要なケアです。
歯周病の進行過程
PROGRESS
01
健康な状態
歯と歯肉の間にある溝(歯周ポケット)の深さは1~2mmほどで、出血なども見られない健康な状態です。歯肉は明るいピンク色で張りがあります。
02
歯肉炎
歯垢を取り切れないままだと、歯肉に炎症が起こります。腫れが見られるようになり、歯周ポケットは2~3mmほどの深さになります。まだ痛みなどの自覚症状は見られません。
03
歯周炎(軽度)
歯周病の原因となる細菌が、歯周組織に侵入します。歯肉が赤く腫れ、歯磨きのときに出血します。また、歯根膜や歯を支える骨といった組織が破壊され始めます。歯周ポケットの深さは3~5mmになります。
04
歯周炎(中度)
腫れや出血のほか、口臭も強くなります。歯を支える骨が半分ほど破壊されて歯がグラグラと揺れるようになります。歯周ポケットの深さは4~7mmになります。
05
歯周炎(重度)
歯を支える骨が大きく破壊されて歯が大きく揺れ、やがて抜け落ちてしまいます。出血や口臭、膿が出るようになります。歯周ポケットの深さは6mm以上になります。
歯周病セルフチェック
次のような症状が見られる場合は、歯科医院で早めにご相談ください。
歯周病にかかっている可能性があります。
〈歯周病セルフチェック〉
- 歯肉が腫れている
- 歯磨きのときに出血する
- 歯肉がかゆく感じる
- 口臭がすると言われた
- 冷たい飲み物などで歯がしみる
- 歯間に食べ物が挟まる
- 朝起きたときに口の中がネバネバする
- 歯が少しグラグラする
- 歯の表面がザラついている
- 歯が伸びたように見える

歯周病は、成人が歯を失う大きな原因になります。

さらに、歯周病はあらゆる全身疾患と関連していることが指摘されています。心臓病、糖尿病、脳梗塞、早産、低体重児出産、誤嚥性肺炎などのリスクにも影響するため、歯周病の予防は健康寿命を伸ばすことにもつながります。
歯周病の治療方法
TREATMENT
歯周基本治療
歯磨き指導
歯周病予防の基本になるのが、日々の歯磨きです。歯垢が歯周組織に付着したとしても、丁寧に歯磨きができていれば取り除くことができます。一人ひとりの歯並びに合った磨き方を指導し、隅々まで汚れを落とせるようにしていきます。
スケーリング・ルートプレーニング
歯垢が固まって形成される歯石は、ブラッシングでは取り除けません。歯周ポケットに溜まった歯石などの汚れを取る処置をスケーリングといいます。より深い歯根に付着した歯石や汚染されたセメント質などを除去し、表面を滑らかにするのがルートプレーニングです。
生活習慣の改善
お菓子やジュースといった甘いものばかり摂取していると、細菌が活発になります。また、長時間かけてダラダラと食べたり、ストレスが溜まったりすることも歯周病に影響を与えます。患者さまの生活習慣をお聞きし、改善する方法についてお話しします。
禁煙指導
喫煙習慣も歯周病に悪影響を及ぼします。たばこに含まれる有害物質は歯肉の血行を悪くし、細菌が活性化しやすくなります。なかなかたばこを止められない方には禁煙方法をアドバイスし、初期治療の効果を高めて歯肉の状態を改善させます。
歯周外科治療
歯周形成手術
フラップ手術(FOP)歯根の奥深くに付着した歯石は、スケーリングなど初期治療では除去できません。こうした汚れをしっかり取り除く場合、歯肉を切開して歯根をきれいにするフラップ手術を検討します。汚染されたセメント質や歯石などを除去することで歯根が滑らかになり、歯周ポケットが浅くなります。
リスク・副作用
歯周病治療/歯周組織再生治療/歯周外科治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- 歯周病の進行状況によりますが、歯垢や歯石の除去時に痛みを感じることがあります。
- 治療に対して患者さまが協力的でない場合は、改善に歯周外科治療や歯周組織再生療法が必要になることがあります。その場合、歯肉を切開するため腫れや痛みをともなうことがあります。
- 治療後歯肉が下がることがあります。
- 治療によって歯肉が引き締まってくるため、被せ物と歯肉の段差とが目立つことがあります。
クリーニングにともなう一般的なリスク・副作用
- 内容によっては保険適用となることもありますが、歯の病気の治療ではないため自費(保険適用外)となることもあり、その場合は保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- 歯科医院でのクリーニングだけでは、虫歯・歯周病の予防はできません。日ごろから歯磨きなどのケアに努めることで、予防効果を上げられます。
- 歯肉の腫れや歯肉炎のある方は、器具が当たることにより痛みや出血をともなうことがあります。
- 歯と歯肉の境目への歯石の付着が多い方は、歯石除去後、歯肉から出血が見られることがあります。多くの場合、クリーニング後しばらくすると出血は治まり、1~2日で歯肉は治癒します。
- 着色汚れや歯垢・歯石はクリーニングで除去できますが、効果は永続的ではありません。いずれも再付着するものなので、定期的に受診して処置を受けることが大切です。
スケーリング/ルートプレーニングにともなう一般的なリスク・副作用
- 基本的には保険での診療となりますが、治療内容によっては自費(保険適用外)となることもあり、保険診療よりも高額になります。
- ルートプレーニングは、歯肉の中に器具を入れるため通常の歯石除去よりも痛みを感じることがあります。
- 歯のすき間に付着していた歯石が除去されることで、歯のすき間が目立つことがあります。
- 処置後、歯肉から出血することがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後1~2日、何もしなくても痛みが出ることがあります。また噛んだときや歯を磨くときも痛みが出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、しばらく知覚過敏の症状が出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、歯肉の退縮を引き起こすことがあります。
フラップ手術にともなう一般的なリスク
- 治療内容によっては自費(保険適用外)となることもあり、その場合は保険診療よりも高額になります。
- 歯肉を切開する必要があり、傷の治癒に数週間かかることがあります。
- 歯肉が下がり、歯が伸びたように見えることがあります。
- 処置後1~2日、何もしなくても痛みが出ることがあります。また噛んだときや歯を磨くときも痛みが出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、しばらく知覚過敏の症状が出ることがありますが、時間の経過とともに治癒します。
- 処置後、歯肉の退縮を引き起こすことがあります。