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歯列矯正の医療費控除はいくら戻る?対象になる条件と申請の手順

2026.07.31

歯列矯正は数十万円から100万円超になる治療ですが、医療費控除を活用すれば実質的な負担を所得税還付と住民税軽減で抑えられます。

この記事では、自分の矯正が控除の対象になるかの判断基準、いくら戻るかの目安、申請手順までを整理します。

歯列矯正は医療費控除の対象になるのか

歯列矯正は医療費控除の対象になるのか

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。歯列矯正がこの制度の対象になるかどうかは、矯正を受ける目的で決まります。

治療目的の歯列矯正は対象になる

国税庁は、歯列矯正について「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります」と明記しています。

具体的には、以下のような機能的な問題を改善するための矯正が該当します。

  • 噛み合わせが悪く、食べ物をうまく噛めない
  • 歯並びが原因で発音に支障がある
  • 不正咬合によって顎関節に負担がかかっている
  • 歯並びの乱れが原因で虫歯や歯周病のリスクが高い

参考:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

美容目的の矯正は対象外

一方、「容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません」と国税庁は定めています。見た目をきれいにしたいだけの目的で行う矯正は、医療行為ではなく美容行為として扱われるためです。

ただし「見た目が気になる」と感じて矯正を検討している場合でも、レントゲンや咬合検査で噛み合わせの問題や顎への負担が見つかれば、機能的な問題として控除対象になることがあります。自己判断で「対象外だろう」と決めつけず、まずは歯科医師の診察を受けることをおすすめします。

子どもの矯正と大人の矯正で扱いは違うか

子どもの矯正治療は、成長期の顎の発育や永久歯の正常な萌出を促す目的があるため、原則として医療費控除の対象になります。「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするため」という要件に自然と合致するからです。

大人の場合は判断がやや複雑になります。大人であっても、歯科医師が「噛み合わせや歯並びに機能的な問題があり、矯正治療が必要」と判断すれば対象になります。ポイントは歯科医師が治療の必要性を認めているかどうかであり、年齢だけで一律に決まるものではありません。

歯列矯正の医療費控除でいくら戻るか

歯列矯正の医療費控除でいくら戻るか

医療費控除で実際にいくら戻るかは、「年間の医療費の合計」と「その人の所得税率」の2つで決まります。

医療費控除の計算式

医療費控除額は次の式で求めます。

医療費控除額 = 1年間に支払った医療費− 保険金などで補填された金額 − 10万円(※)

※総所得金額が200万円未満の方は、10万円ではなく「総所得金額の5%」が差し引かれます。

控除額の上限は200万円で、実際に還付される金額は、この控除額に自分の所得税率をかけた金額になります。さらに、翌年の住民税も控除額の10%分が軽減されます。

年収別の還付額シミュレーション

矯正費用80万円を支払い、保険金などの補填がない場合で計算してみます(単身の給与所得者を想定した目安値)。

項目年収約600万円年収約900万円年収約1,200万円
課税所得の目安約290万円約530万円約780万円
所得税率10%20%23%
控除額(80万円 − 10万円)70万円70万円70万円
所得税の還付額約7万円約14万円約16.1万円
住民税の軽減額約7万円約7万円約7万円
合計の軽減額約14万円約21万円約23.1万円

課税所得は年収から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除などを差し引いた金額で、家族構成や控除内容によって変わります。

所得税率が高い方ほど還付額も大きくなります。この金額は矯正治療の費用だけで算出していますが、同じ年に支払った他の医療費(家族の分も含む)を合算できるため、実際の控除額はさらに大きくなる可能性があります。

医療費控除の対象になる費用・ならない費用

医療費控除の対象になる費用・ならない費用

歯列矯正にかかる費用のすべてが控除対象になるわけではありません。何が含まれて何が含まれないかを整理しておくと、申請時に漏れや誤りを防げます。

対象になる費用

  • 検査・診断料(レントゲン、CT撮影、歯型取りなど)
  • 矯正装置の費用(ワイヤー矯正、マウスピース矯正いずれも対象)
  • 毎月の調整料・処置料
  • 矯正治療に伴う抜歯の費用
  • 処方された医薬品の費用(痛み止めなど)
  • 通院のための交通費(電車・バスなどの公共交通機関)

通院交通費は意外と見落とされがちですが、公共交通機関を利用した場合は対象です。小さなお子さんの通院で保護者が付き添う場合、付き添いの方の交通費も対象になります。領収書が出ない場合は、通院日・経路・金額をメモしておきましょう。

対象にならない費用

  • 自家用車で通院した場合のガソリン代・駐車場代
  • デンタルローン・クレジットカード分割払いの金利・手数料
  • 予防目的のクリーニング費用(矯正治療と無関係のもの)

デンタルローンを利用した場合、金利や手数料は対象外ですが、治療費そのもの(信販会社が立て替えた金額)はローン契約が成立した年の控除対象になります。クレジットカードで支払った場合も、カード決済日の年に全額が対象になります。引き落としが翌年にずれる場合や分割払いでも、決済した年にまとめて申告します。

参考:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

医療費控除の申請に診断書は必要か

医療費控除の申請に診断書は必要か

確定申告の時点で診断書の提出は不要です。医療費控除の申請に必要なのは「医療費控除の明細書」と領収書の保管であり、診断書は提出書類に含まれていません。

ただし、税務署から「この矯正治療は治療目的ですか?」と後日確認が入る場合があります。特に大人の矯正で金額が高額な場合、審美目的との境界が曖昧だと判断されると、治療の必要性を示す書類を求められることがあります。

このような問い合わせがあったときは、歯科医師に診断書の発行を依頼できます。事前発行は必須ではなく、必要になった段階で依頼すれば対応してもらえます。診断書の内容は、「不正咬合により咀嚼機能に問題がある」「噛み合わせの改善が必要と診断した」など、治療の医学的必要性を記載したものです。

費用はクリニックによりますが、数千円程度が一般的です。

歯列矯正の医療費控除を確定申告で申請する手順

歯列矯正の医療費控除を確定申告で申請する手順

医療費控除は年末調整では受けられません。会社員の方でも確定申告が必要です。手続きの流れを順に説明します。

申請に必要な書類を準備する

確定申告で医療費控除を申請するために用意するものは次のとおりです。

  • 医療費控除の明細書(国税庁のサイトからダウンロード可能)
  • 源泉徴収票(会社員の場合)
  • 申告者名義の銀行口座情報
  • マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード+本人確認書類)
  • 医療費の領収書(提出は不要だが、5年間の保管義務あり)

「医療費のお知らせ」が健康保険組合から届いている場合は、明細書の作成に活用できます。ただし、歯列矯正は自由診療のため「医療費のお知らせ」に載らないことがほとんどで、領収書をもとに自分で明細書に記入する必要があります。

確定申告書を作成して提出する

申告書の作成方法は主に3つあります。

作成方法特徴
国税庁の確定申告書等作成コーナー(e-Tax)画面の指示に従って入力するだけで完成する。マイナンバーカードがあればオンラインで提出まで完結する
税務署で直接相談書き方がわからない場合に職員に相談しながら作成できる。確定申告期間(2月16日〜3月15日)は混雑する
税理士に依頼費用はかかるが確実。他の控除や複雑な申告と合わせて依頼する場合に向いている

初めての方でも、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば自宅で申告が完結します。医療費控除の項目に金額を入力し、必要事項を埋めていけば申告書が自動作成されます。

申告の時期と還付までの期間

確定申告の期間は原則として毎年2月16日から3月15日です。ただし、医療費控除のような還付申告は1月1日から提出可能で、5年以内であればさかのぼって申告することもできます。「去年の分を出し忘れた」という場合でも間に合う可能性があります。

還付金の振込はe-Taxの場合で約3週間、郵送・持参の場合で1ヶ月〜1ヶ月半程度が目安です。

歯列矯正の医療費控除に関するよくある質問

歯列矯正の医療費控除に関するよくある質問

矯正治療を2年にまたいで支払った場合はどう申告するか

医療費控除は「その年に実際に支払った金額」が対象です。2年にわたって分割で支払った場合は、それぞれの年に支払った金額をその年の確定申告で申請します。たとえば矯正費用80万円のうち1年目に50万円、2年目に30万円を支払った場合は、各年の医療費としてそれぞれ申告します。

家族の医療費と合算できるか

生計を一にする家族であれば、家族全員の医療費を合算して申告できます。「生計を一にする」とは、同居していなくても生活費を共にしている関係を指します。たとえば、配偶者の歯科治療費や子どもの矯正費用を合算すれば、10万円の基準を超えやすくなります。

家族の中で最も所得税率が高い人が申告すると、還付額が大きくなります。

マウスピース矯正(インビザライン)も対象になるか

矯正装置の種類は医療費控除の判断に影響しません。ワイヤー矯正でもマウスピース矯正(インビザライン)でも、歯科医師が治療の必要性を認めた矯正であれば対象です。装置の種類ではなく、治療目的かどうかが判断基準になります。

まとめ

まとめ

歯列矯正は、噛み合わせや歯並びの機能的な問題を改善する目的であれば医療費控除の対象になります。子どもの矯正は原則として対象、大人の矯正は歯科医師が治療の必要性を認めた場合に対象です。

控除額は「支払った医療費 − 10万円」に所得税率をかけた金額が還付される仕組みで、家族の医療費も合算できるため、領収書は家族全員の分をまとめて保管しておきましょう。

「自分の矯正が対象になるか」「どの治療法が合うか」は、歯科医師の判断が出発点になります。辻岡歯科医院はワイヤー矯正(表側・裏側)・マウスピース矯正・小児矯正など幅広い矯正治療に対応しており、40年にわたる臨床経験をもとに、個人のお口の状態とご希望に合わせた治療計画をご提案します。ご予算を含めて相談に乗りますので、矯正治療をご検討の方はお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

辻岡歯科医院

院長 辻岡敬志

地域に根差して40年の辻岡歯科医院では、皆様がご自身の歯でいつまでも楽しく食事ができ、すてきな笑顔で日々を送れるようサポートしています。インプラントをはじめ幅広い治療が可能なので、お口のお悩みはどのようなことでもご相談ください。一人ひとりに寄り添い、適切な治療計画をご提案し、人生のQOL(生活の質)の向上に貢献します。

■ 経歴

  • 1979年:城西歯科大学 卒業
  • 1979年:和歌山県立医科大学歯科口腔外科 入局
  • 1982年:辻岡歯科医院 開院

【歯列矯正に関する重要事項】

歯列矯正は自由診療です(一部の先天性疾患や顎変形症を除く)。

  • 治療内容:ワイヤー矯正装置またはマウスピース型矯正装置を用いて歯を移動させ、歯並び・噛み合わせを改善する治療
  • 治療期間・回数:全体矯正で1〜3年程度、部分矯正で6ヶ月〜1年半程度。通院は月1回程度が目安
  • 費用の目安:部分矯正で10万〜50万円程度、全体矯正で60万〜170万円程度(クリニックにより異なります)。検査料・調整料・保定装置の費用が別途かかる場合があります
  • リスク・副作用:歯の移動に伴う痛み、装置による口内炎、歯根吸収、歯肉退縮、治療後の後戻りなど

【マウスピース型矯正装置(インビザライン等)を使用する場合の重要事項】

マウスピース型矯正装置(インビザライン等)は、薬機法(医薬品医療機器等法)上の承認を受けていない医療機器に該当します。

  • 入手経路:米国アライン・テクノロジー社の製品を、日本法人であるインビザライン・ジャパン(アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社)を通じて入手しています
  • 国内の承認医薬品等の有無:国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けた製品は複数ありますが、インビザラインと同一の装置ではありません
  • 諸外国における安全性等:米国FDAの認証を受けて世界100ヶ国以上で使用されていますが、長期的な安全性データは十分に蓄積されていない部分があります
  • 副作用被害救済制度の対象外:万が一重篤な副作用が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済制度の救済対象にはなりません

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