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入れ歯は何歳から使う人が多い?歯を失う原因と年代別の備え方

2026.08.10

入れ歯が必要になる年齢は「60歳から」といった固定の目安で決まるものではなく、何本の歯をどの位置で失ったか、その空いた部分が日常の食事と噛み合わせにどう影響しているかで判断されます。

この記事では、年齢別にどのくらいの割合で入れ歯が使われているかを実際のデータで確認したうえで、「いつ、どの状態で検討すべきか」を整理します。

入れ歯を使い始める年齢の目安

入れ歯を使い始める年齢の目安

「入れ歯は高齢になってから」という印象がありますが、実際のデータを見ると、入れ歯を使い始める年代は想像より広いことがわかります。年齢そのものよりも「何本の歯をどの位置で失ったか」が、入れ歯を検討するきっかけになります。

年齢別の平均残存歯数と入れ歯使用率

「令和4年歯科疾患実態調査」によると、年齢階級別の補綴物装着率は次のとおりです。

年齢階級ブリッジ部分入れ歯総入れ歯インプラント
25〜34歳0〜6.7%0%0%0〜2.6%
35〜44歳4.8〜10.3%0.9〜1.2%0%0%
45〜54歳13.1〜24.5%0.7〜5.2%0.6〜0.7%0.7〜3.2%
55〜64歳31.4〜40.1%8.8〜15.3%0.7〜2.8%2.9〜4.5%
65〜74歳41.4〜53.8%19.1〜34.8%3.2〜9.2%3.6〜5.9%
75〜84歳45.1〜45.3%34.9〜47.8%17.8〜30.2%3.9〜4.9%
85歳〜41.0%43.8%36.2%2.9%

部分入れ歯は50代から徐々に増え始め、70代で約3人に1人、80代で4割前後の方が使っています。総入れ歯は70代後半から急に増え、80代では約3人に1人となります。

一方、80歳で自分の歯が20本以上ある方は51.6%と半数以上が一定数の歯を保っており、入れ歯を使うタイミングは「何歳になったら」ではなく「どれだけ歯を守ってこれたか」で分岐することがこのデータから読み取れます。

参考:令和4年歯科疾患実態調査結果の概要(厚生労働省)

若くして入れ歯になるケースもある

20〜34歳の入れ歯使用率はほぼゼロですが、それでも虫歯の進行、重度の歯周病、事故による歯の破折、先天的に歯が少ないといった理由で部分入れ歯が選択されるケースはあります。年齢を理由に「まだ入れ歯は早い」と判断を先延ばしにして、歯を失った部分を放置する方が、むしろ噛み合わせの崩れや隣の歯の倒れ込みなど次の問題を招きます。

入れ歯が必要になる「歯を失うタイミング」

入れ歯が必要になる「歯を失うタイミング」

入れ歯を検討することになるのは、ほとんどの場合「歯を失った時点」です。失う原因は年齢によって少しずつ変わりますが、40代以降は歯周病が、それより若い世代では虫歯や外傷が多くを占めます。

歯周病による喪失

日本人が歯を失う最大の原因は歯周病で、抜歯原因の37.1%を占めます。

軽度の歯ぐきの腫れや出血で止まっているうちは治療で進行を抑えられますが、重度まで進んで歯を支える骨が失われると、抜歯が選択されます。40代以降、4mm以上の歯周ポケットを持つ方の割合は45〜54歳で43.7%、55〜64歳で47.5%、65〜74歳で56.2%と高くなっていきます。

参考:第2回永久歯の抜歯原因調査報告書(8020推進財団)

参考:令和4年歯科疾患実態調査結果の概要(厚生労働省)

虫歯の進行による喪失

虫歯は抜歯原因の29.2%を占め、歯周病に次いで多い喪失理由です。虫歯が神経に達し、さらに根の先まで感染が広がると、根管治療を行っても歯を残せないケースがあります。虫歯による歯の喪失は全年代で起こりえますが、特に神経を取った歯が数年〜数十年後にヒビが入って破折するパターンで若〜中年世代の抜歯につながることが多く見られます。

外傷・事故による喪失

転倒、スポーツ中の衝突、交通事故などで前歯を失うケースは、10代から高齢者まで年齢を問わず起こります。外傷による喪失は事前の予防が難しい分、喪失後の選択肢を早めに検討することが大切です。

入れ歯・ブリッジ・インプラントから選ぶときの判断軸

入れ歯・ブリッジ・インプラントから選ぶときの判断軸

歯を失った場合の治療法は、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つに大別されます。「どれが一番良いか」は一律に決まらず、個人の状況によって合う選択肢が変わります。

3つの治療法の特徴

項目入れ歯(義歯)ブリッジインプラント
治療内容バネやフィット感で固定する取り外し式両隣の歯を削って連結した人工歯を装着顎の骨に人工歯根を埋入し人工歯を装着
隣の歯への影響バネがかかる歯に負担がかかる両隣の歯を削る必要がある削らずに独立して機能する
保険適用保険適用あり(自費もあり)前歯・小臼歯は保険適用可原則自由診療
費用目安(保険は3割負担の場合)保険で総額5千〜1万5千円、自費で15〜60万円保険で総額2〜3万円、自費で15〜60万円1本30〜50万円+追加処置
治療期間1〜2ヶ月程度2週間〜1ヶ月程度4ヶ月〜1年程度
手術の有無なしなし外科手術あり
向いているケース複数本を失った、手術を避けたい、費用を抑えたい失った歯が1〜2本、両隣の歯が健康両隣の歯を守りたい、長期的な安定を重視

失った歯の位置で適した選択肢が変わる

同じ1本でも、位置によって入れ歯が必要になるかの判断が変わります。

失った位置入れ歯以外の選択肢の検討しやすさ
奥歯の一番後ろの歯両隣の歯がないためブリッジが作りにくく、部分入れ歯またはインプラントが候補
前歯1本ブリッジ・インプラントも対応可能。見た目の仕上がりが判断の中心
前歯と奥歯の中間、複数本にまたがる範囲が広いため部分入れ歯で対応することが多い

「歯を失った本数」より先に「どの位置を失ったか」を確認することで、入れ歯以外の選択肢を含めて判断できるようになります。

入れ歯が合いやすい条件

  • 失った歯の本数が多く、ブリッジでは対応しきれない
  • 外科手術に抵抗がある、または全身疾患で手術が難しい
  • 費用を保険の範囲内で抑えたい
  • 将来さらに歯を失う可能性があり、増設できる設計にしておきたい

入れ歯は、歯を失う本数が増えても既存の入れ歯に人工歯を追加して対応できる柔軟性があります。インプラントとブリッジにはない特徴で、「将来の喪失」を見越した選択肢としての価値があります。

入れ歯以外を選びたくなる条件

逆に、以下の状況ではブリッジやインプラントが検討されることが多くなります。

  • 失った歯が1〜2本で、両隣の歯の状態が良好
  • 取り外しの煩わしさを避けたい
  • バネ(クラスプ)が見える審美的な影響を避けたい
  • 噛む力をしっかり保ちたい

なお、辻岡歯科医院では入れ歯(義歯)、インプラント(ストローマンインプラント)、オールオン4、GBR法(骨造成)、セラミック治療まで対応しているため、お口の状態と優先順位に応じて選択肢を整理したうえでご提案が可能です。

入れ歯の種類と保険・自費の違い

入れ歯の種類と保険・自費の違い

入れ歯には保険適用のものと自費診療のものがあり、素材と設計で費用が分かれます。保険診療でも生活上の使用に十分な入れ歯が作れますが、薄さ・装着感・見た目にこだわる場合は自費の選択肢が広がります。

入れ歯の主な種類

種類保険/自費費用目安(税込)特徴
部分入れ歯(レジン床)保険3割負担で5千〜1万5千円程度プラスチック製の床。金属のバネで固定
総入れ歯(レジン床)保険3割負担で1万〜1万5千円程度プラスチック製の総入れ歯
金属床義歯自費30〜60万円程度床の一部を金属(コバルトクロム・チタンなど)で作る。薄く装着感が良い
ノンクラスプデンチャー自費15〜50万円程度金属のバネがない部分入れ歯。見た目が自然
磁性アタッチメント義歯自費(一部保険適用あり)症例により異なる残存歯根に磁石を埋め込み義歯を安定させる

入れ歯の費用を決めるのは「使う素材(レジンか金属か)」と「バネの設計(金属クラスプかノンクラスプか)」の2点が中心で、保険と自費の差はここから生じます。保険適用の入れ歯でも、合う方にとっては日常的な食事と会話に十分対応できます。

保険と自費のどちらを選ぶかの判断軸

保険の入れ歯が向いているのは、次のようなケースです。

  • 日常生活に必要な「噛む・話す」機能を確保できればよい
  • 費用を最小限に抑えたい
  • 初めての入れ歯で慣れるまでの試用を兼ねたい

一方、自費の入れ歯を検討したいのは、次のようなケースです。

  • 会食や対人の場面で装着感や見た目を重視したい
  • 発音のクリアさを仕事で求められる
  • 残存歯にバネの負担をかけたくない

普段の食事や対人の場面で何に困りそうかを初診時に伝えていただくと、医師側も保険・自費どちらが合うかお伝えしやすくなります。

年代別に考える歯を守るための習慣

年代別に考える歯を守るための習慣

入れ歯が必要になる時期を遅らせるには、年代に応じた口腔ケアの意識が欠かせません。

30〜40代は歯周病の「静かな進行」に気づく時期

30〜40代は歯周病が始まりやすい年代です。ブラッシング時の出血や、歯茎が下がってきた感覚があれば、すでに歯周病が進行しているサインかもしれません。この時期に定期検診を習慣にしておくことで、早期発見・早期治療が可能になります。

半年に1回の歯科検診とプロフェッショナルクリーニングが基本的な予防策です。

50代は「まだ大丈夫」が最大のリスク

50代は、過去の虫歯治療で詰め物・被せ物を入れた歯にトラブルが出やすい時期です。銀歯の下で二次虫歯が進んでいたり、歯根にヒビが入っていたりすることがあります。「痛くないから問題ない」と思っているうちに歯を失うリスクが高まるため、50代こそ「痛みがなくても検診を受ける」ことが歯を守る分かれ目になります。

60代以降は失った歯を放置しない

60代以降は、抜けた歯を「もう年だから仕方ない」とそのままにする方が増えます。しかし、1本の欠損を放置すると、隣の歯が傾き、噛み合う歯が伸びて、噛み合わせ全体が崩れるという連鎖が起きます。入れ歯やインプラントなどで欠損を補うことが、結果的に残った歯を守ることにつながります。

入れ歯に関するよくある質問

入れ歯に関するよくある質問

保険の入れ歯と自費の入れ歯、初めてならどちらがよいですか?

装着感や見た目を重視する理由が明確にある場合は最初から自費も選択肢に入りますが、初めての入れ歯は保険から試して不満点を整理し、そこから自費を検討する流れも現実的です。保険の入れ歯でも噛む・話す機能は十分に回復できるため、まず使い慣れてから選び直すという段階的な進め方が無理のない方法です。

入れ歯は医療費控除の対象ですか?

保険適用の入れ歯はもちろん、自費の入れ歯も医療費控除の対象になります。国税庁のWebサイトでは、自由診療や高価な材料を使った治療であっても、材料が一般的に使用されているものであれば控除対象とされています。ただし「一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの」は対象外とされています。

1年間の医療費(本人+生計を一にする家族)が10万円を超えた部分が所得から控除され、総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%を超えた部分が対象です。

参考:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例|国税庁

入れ歯は何年くらい使えますか?

保険の入れ歯は一般的に3〜5年程度で作り替えが必要になります。歯茎や顎の骨は年齢とともに少しずつ変化するため、入れ歯が合わなくなってくるためです。自費の入れ歯も素材によって耐久性は異なりますが、定期的な調整を受けることで長持ちさせることができます。

痛みや違和感が出てきたら、作り直しの時期を待たず早めに調整を受けることが大切です。

まとめ

まとめ

入れ歯を使い始める時期は年齢で決まるものではなく、歯を失った本数・位置と、その空きが食事や噛み合わせにどう影響しているかで判断します。差を生むのは、若いうちから歯周病や虫歯を管理して残せる歯の本数を増やしておけたかどうかです。

「自分にはどの治療が合うのか」「今の歯を何本残せるのか」。こうした疑問は、口の中の状態を診て初めて正確にお答えできるものです。辻岡歯科医院では、入れ歯・ブリッジ・インプラントのいずれにも対応し、お一人お一人の状態に合わせた治療計画をご提案しています。

お口のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

辻岡歯科医院

院長 辻岡敬志

地域に根差して40年の辻岡歯科医院では、皆様がご自身の歯でいつまでも楽しく食事ができ、すてきな笑顔で日々を送れるようサポートしています。インプラントをはじめ幅広い治療が可能なので、お口のお悩みはどのようなことでもご相談ください。一人ひとりに寄り添い、適切な治療計画をご提案し、人生のQOL(生活の質)の向上に貢献します。

■ 経歴

  • 1979年:城西歯科大学 卒業
  • 1979年:和歌山県立医科大学歯科口腔外科 入局
  • 1982年:辻岡歯科医院 開院

【自費の入れ歯に関する重要事項】

自費の入れ歯(金属床義歯・ノンクラスプデンチャー等)は公的医療保険が適用されない自由診療です。

  • 治療内容:患者様の口腔内に合わせて設計・作製する自費の義歯(部分入れ歯または総入れ歯)
  • 治療期間・回数:型取りから完成まで通常3〜6回程度の通院が必要です(個人差あり)
  • 費用の目安:部分入れ歯15万〜50万円程度、総入れ歯30万〜60万円程度(設計や素材により異なります)
  • リスク・副作用:装着初期の違和感、歯茎の痛み・圧迫感、発音のしにくさ、素材によるアレルギー反応の可能性

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