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インプラントの医療費控除でいくら戻る?計算方法と確定申告の手順

2026.07.31

インプラントは保険が使えない自由診療ですが、医療費控除を申告すれば、支払った費用に応じて所得税の還付と住民税の減額を受けられます。戻る金額は課税所得によって変わり、40万円の治療なら合計で数万円から約9万円ほど負担が軽くなることもあります。

この記事では、医療費控除でいくら戻るのかの計算方法と、確定申告の手順を解説します。

インプラントが医療費控除の対象になる条件

インプラントが医療費控除の対象になる条件

医療費控除は「治療を目的とした医療費」に適用される制度です。インプラントは自由診療ですが、噛む機能の回復を目的とした治療であれば控除の対象になります。一方、見た目を整えることだけを目的とした審美目的のケースは対象外です。

医療費控除の基本的な仕組み

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が一定額を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引ける制度です。差し引いた分だけ課税対象となる所得が減るため、結果的に所得税と住民税が軽くなります。

控除を受けるための条件は2つあります。1つは、その年の医療費の合計が10万円を超えていること。もう1つは、確定申告で医療費控除を申告することです。

なお、年間の総所得金額が200万円未満の方は、10万円ではなく「総所得金額の5%」が基準になります。たとえば総所得が150万円の方であれば、7万5,000円を超えた分が控除の対象です。

医療費控除は本人の分だけでなく、生計を一にする家族が支払った医療費も合算できるため、配偶者やお子さんの歯科治療費や通院にかかった交通費もまとめて申告できます。

インプラントで控除の対象になる費用・ならない費用

インプラント治療にかかる費用のうち、控除の対象になるものとならないものがあります。

対象になる費用インプラント手術費用(埋入・上部構造など)
CT撮影・レントゲンなどの検査費用
骨造成(GBR法など)の費用
処方された薬の費用
通院のための公共交通機関の交通費
対象にならない費用審美目的のみの治療費
自家用車のガソリン代・駐車場代
デンタルローンの金利・手数料
予防目的のサプリメント

国税庁も、金歯やセラミック(陶材)のように歯の治療で一般的に使われる材料は医療費控除の対象になると示しています。インプラントの上部構造にセラミックを使った場合も同様です。

参考:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

インプラントの医療費控除でいくら戻るか

インプラントの医療費控除でいくら戻るか

「いくら戻るか」は所得税率(その方の課税所得に応じた税率)で決まります。還付は所得税と住民税の2段階で発生するため、戻る金額は所得税と住民税の両方を合わせて計算します。

医療費控除額の計算方法

医療費控除額は次の式で求めます。

医療費控除額 = 1年間に支払った医療費の合計 − 保険金などで補填された金額 − 10万円

この控除額に自分の所得税率を掛けた金額が、所得税として還付されます。さらに、控除額の10%が翌年の住民税から減額されます。

所得税率は課税所得(収入から各種控除を引いた金額)によって5%〜45%まで7段階に分かれています。

課税所得所得税率
195万円以下5%
195万円超〜330万円以下10%
330万円超〜695万円以下20%
695万円超〜900万円以下23%
900万円超〜1,800万円以下33%
1,800万円超〜4,000万円以下40%
4,000万円超45%

参考:No.2260 所得税の税率

年収別のシミュレーション

インプラント治療に40万円を支払い、保険金などの補填がなかった場合を例に見てみます。

医療費控除額:40万円 − 10万円 = 30万円

年収約500万円約800万円約1,200万円
課税所得の目安約230万円約450万円約780万円
所得税率10%20%23%
所得税の還付額3万円6万円6万9,000円
住民税の減額3万円3万円3万円
合計の軽減額約6万円約9万円約9万9,000円

課税所得は年収から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除などを差し引いた金額で、具体的な金額は家族構成・控除内容により変わります。上記は単身の給与所得者を想定した目安値です。

課税所得が高い方ほど所得税率が高いため、同じ治療費でも還付額が大きくなる仕組みです。家族の中で最も課税所得が高い方が申告すると、世帯全体での税負担の軽減効果が大きくなります。

住民税の減額分は所得に関係なく一律10%なので、課税所得にかかわらず控除額の10%が軽減されます。

医療費控除の確定申告に必要な書類と手順

医療費控除の確定申告に必要な書類と手順

医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。年末調整では医療費控除を受けられないため、会社員の方も自分で申告を行います。

準備する書類

確定申告に必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(国税庁のサイトまたは税務署で入手)
  • 医療費控除の明細書(医療費を一覧にまとめたもの)
  • 源泉徴収票(会社員の場合、勤務先から交付)
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 還付金を受け取る銀行口座の情報

以前は医療費の領収書を添付する必要がありましたが、現在は「医療費控除の明細書」の提出に変わっています。ただし、領収書は自宅で5年間保管する義務があるため、治療が終わっても捨てずに保管してください。税務署から後日提出を求められることがあります。

確定申告の提出方法と期限

確定申告の提出方法は3つあります。

提出方法特徴
e-Tax(電子申告)マイナンバーカードがあれば自宅から完結。マイナポータル連携で医療費情報を自動入力できる
郵送申告書を印刷して管轄の税務署に郵送
税務署窓口直接持参。確定申告期間中は混雑するため早めの来所が望ましい

確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。ただし、医療費控除のように還付を受けるだけの申告(還付申告)は、翌年の1月1日から5年間いつでも提出できます。「3月15日を過ぎてしまったから今年はもう無理」ということはありません。

医療費控除の申告で見落としやすいポイント

医療費控除の申告で見落としやすいポイント

医療費控除の制度自体は知っていても、申告のやり方や対象範囲で見落としが起きやすい点があります。

デンタルローン・クレジットカード払いの場合

インプラントの費用をデンタルローンやクレジットカードで支払った場合も、医療費控除の対象になります。ローンの場合は信販会社が治療費を立て替えた形になるため、ローン契約が成立した年の医療費として全額が控除対象になります。翌年以降に分割で返済していても、控除の対象になるのは契約成立の年だけです。

ただし、ローンの金利や分割手数料は医療費控除の対象になりません。控除額を計算する際は、治療費の元金のみで計算してください。また、ローン利用の場合はクリニックからの領収書が発行されないこともあるため、ローン契約書や信販会社の明細を保管しておくことが重要です。

参考:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

通院にかかる交通費も対象になる

見落としやすいのが通院の交通費です。バスや電車など公共交通機関を使って通院した場合、その運賃は医療費控除の対象になります。領収書がなくても、日付・経路・金額をメモしておけば明細書に記載できます。

一方、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は控除の対象外です。タクシーについては、電車やバスが使えない事情(足の骨折で歩行困難など)がある場合に限り認められることがあります。

治療が年をまたぐ場合の扱い

インプラント治療は手術から上部構造の装着まで数ヶ月〜半年ほどかかるため、年をまたいで費用を支払うケースがあります。医療費控除は「実際に支払った日」が基準になるため、12月に手術費用を支払い、翌年3月に上部構造の費用を支払った場合は、それぞれの年に分けて申告します。

1年間の医療費が10万円を超えるかどうかは、支払った年ごとに判定されるため、年をまたぐと控除額が減る可能性があります。まとまった費用を同じ年に支払えるよう、治療計画の段階で歯科医院に相談しておくと、控除の恩恵を受けやすくなります。

インプラントの医療費控除に関するよくある質問

インプラントの医療費控除に関するよくある質問

高額療養費制度はインプラントに使えますか?

高額療養費制度は公的医療保険が適用される治療が対象です。インプラントは自由診療で保険が適用されないため、高額療養費制度の対象にはなりません。インプラントの費用負担を軽減できる公的な制度は、医療費控除のみです。

専業主婦や無職の場合でも申告できますか?

医療費控除は所得税を納めている方が対象の制度です。所得がなく、所得税を支払っていない方は医療費控除を受けられません。ただし、生計を一にする配偶者や家族に所得がある場合は、その方が医療費を申告に含めることで控除を受けられます。

たとえば、専業主婦の方のインプラント費用を配偶者の確定申告で合算することが可能です。

過去の治療費をさかのぼって申告できますか?

医療費控除の還付申告は、医療費を支払った翌年の1月1日から5年間まで可能です。たとえば2025年中に支払ったインプラント費用は、2030年12月31日まで申告が可能です。過去に申告を忘れていた方も、5年以内であれば今からでも間に合います。

まとめ

まとめ

インプラントは自由診療ですが、医療費控除を申告すれば所得税の還付と住民税の減額を受けられます。40万円の治療なら、課税所得に応じて合計で数万円から約9万円ほど負担が軽くなります。申告は「医療費控除の明細書」を国税庁のサイトで作成し、e-Taxを使えば自宅から提出できます。

戻る金額は支払う年や家族の所得によっても変わるため、治療費をいつ・どう支払うかを計画の段階で整理しておくと、控除の恩恵を受けやすくなります。辻岡歯科医院は、治療の総額を最初に提示するトータルフィーで費用の見通しを示しながら、支払い方法や医療費控除を含めた費用面までご相談いただけます。費用が不安でインプラントを迷っている方も、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

辻岡歯科医院

院長 辻岡敬志

地域に根差して40年の辻岡歯科医院では、皆様がご自身の歯でいつまでも楽しく食事ができ、すてきな笑顔で日々を送れるようサポートしています。インプラントをはじめ幅広い治療が可能なので、お口のお悩みはどのようなことでもご相談ください。一人ひとりに寄り添い、適切な治療計画をご提案し、人生のQOL(生活の質)の向上に貢献します。

■ 経歴

  • 1979年:城西歯科大学 卒業
  • 1979年:和歌山県立医科大学歯科口腔外科 入局
  • 1982年:辻岡歯科医院 開院

【インプラント治療に関する重要事項】

インプラント治療は公的医療保険が適用されない自由診療です。

  • 治療内容:顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋入し、その上に人工の歯を装着する治療
  • 治療期間・回数:一般的に3〜10ヶ月程度。埋入手術・アバットメント装着・上部構造装着の3段階で進行(個人差あり)
  • 費用の目安:1本あたり30万〜50万円程度。骨造成が必要な場合は追加費用が発生します。詳しくはクリニックへお問い合わせください
  • リスク・副作用:術後の腫れ・出血・痛み・しびれ、インプラント周囲炎、上部構造の破損など

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